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金山先生の紹介
2016.9.28

今回は、美術の金山正之先生を紹介します。

VOL.10 金山先生

 

『ろくでなしBLUES』や『ROOKIES』などで有名な漫画家森田まさのり氏は、栗東市出身ですが、守山高校時代、美術部員だった森田さんを教えていたのが金山先生です。

森田さんの強いインパクトある描線や精緻なデッサンの基礎は、金山先生の指導で培われていたのですね。

因みに森田さんには、昨年のびわこ総文で美術工芸部門の講師をお願いしましたが、講演は金山先生と森田さんの対談というかたちで行われました。互いに緊張感ある対談だったと思います。

 

先日「こち亀」が最終回を迎え話題になりました。単行本200はギネスの数字です。

素人考えで、あれだけ出版して売れたら、結構な稼ぎとうらやましい限りですが、森田さんの話だと、漫画家はただ売れたらよいというだけでもないようです。

芸術家と同じように自分のライフワークか使命のようなテーマにこだわるところもあるようで、森田さんが語るに、大ヒットして映画化、ドラマ化された『ROOKIES』よりも、その後連載した、お笑い芸人の世界を描いた『べしゃり暮らし』の方が思い入れが強いということらしいです。恩師の金山先生に語られたそうです。

その点、画家が一生かけてこだわり続けるテーマに通ずるところがあります。

 

さて、今回は、その金山先生の作品の中から最新作を掲載しました。

 

VOL.10 金山先生の作品.jpeg

 

タイトルは、『湖に臨む~老々塚(ろうろうづか)幻想・挽歌~』

銅版画で、エッチングとアクアチント、ルーレットという技法が使われています。

 

「老々塚」は竜王町の山面(やまづら)にある三ツ山古墳群のひとつです。

何か哀愁を感じさせる絵柄で、タイトルにもあるように、時空を超えて万葉の時代にタイムスリップしたような印象を受けます。

 

先生にお話をうかがうと、『日本書紀』に登場する朝鮮半島から渡来した新羅王子のアメノヒボコが、竜王の鏡神社周辺の地にも住んだと言い伝えられていて、竜王町出身の金山先生は、自分もアメノヒボコにつき従った一族や工人たちの末裔ではないかという思いから、古代への郷愁をモチーフにこの作品を創ったそうです。

 

誰かが何かで書いていましたが、太古から悠久の時を超えて水をたたえ続ける琵琶湖は、人間の歴史を映し出す巨大な鏡であり、さながらタイムマシンであると。

確かに琵琶湖の周りは、壬申の乱から源平、応仁の乱を経て戦国そして安土桃山と、歴史の中心であり、その時代その時代の人間の行いをずっと湖面に映し続けて来ました。古塚の背景に琵琶湖を置いたのにはそういった必然性があったのです。

 

なお、本校の美術部生徒たちも先生の指導を受けながら創作活動を通して日々の学校生活をエンジョイしています。

第二の森田まさのりがここからも生まれると誇らしいのですが…。