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「人は財産」 ~卒業式式辞の「さわり」を披露~
2018.3.2

さて、君たちはこれから、今まで以上に多くの人と出会い、多くの人に囲まれて生きていくことになります。

人と向き合い、人と接する上で、常に心にとどめてほしい言葉が三つあります。

人とは何か。その答えになるメッセージです。

 

一つ目。人は鏡です。自分を映し出す鏡です。

君たちが睨めば、相手も睨み返す。君たちが笑えば、相手も笑顔を返してくれる。

怒りには怒りで返され、疑えば疑いの目を向けられる。

頭を下げて心から謝れば、相手も悪かったと謝罪する。

人は鏡を見るように、自分の態度をそっくりそのまま返して来るものです。

 

人を愛せば、君たちも愛されます。

人に優しくあれば、君たちも優しさに包まれます。

人を大事にすれば、きっと君たちも大事にされます。

自分の態度や生きざまが、人に映し出されると思ってください。

 

二つ目。人は雨です。

雨は乾いた大地を潤し、草木を育て、人の暮らしを支えます。

人もまた同じ。

悲しさに打ちひしがれたとき、人は慈しみの雨となって降り注ぎ、君たちに生きる栄養をもたらし、心の傷を癒してくれます。

しかし、雨は時として豪雨となり、山を崩し、草木を流し、人の暮らしを脅かします。

人もまた同じ。

君たちが道を間違えそうになったとき、人は荒れ狂う大雨となって、君たちの怠け心や傲慢な生き方を戒めてくれます。

 

どの人も雨。多くの人が降らす様々な雨によって、君たちは時に癒され支えられ、時に正され導かれ、そうして長い人生を生きていくのです。

人を雨と思い、素直にその雨に打たれ、成長し続けてください。

 

三つ目。人は財産です。

お金も財産、土地や家も財産。しかし、一番の財産は人です。

家族はもちろん、親友、職場の同僚、チームメイト。すべて貴重な財産です。

お金は使い果たしても、家は流されても、人は残ります。

より多くの人と深い交わりを結び、より多くの人を大事にしなさい。

人が財産となって、暮らしを支えてくれます。

人が財産となって、心の世界も満たしてくれます。

大好きな人や気心の知れた人たちと一緒に過ごす、愛情と信頼に満ちた時間は、何にも替えがたい、ぜいたくな時間です。

これからも、人という財産を蓄え、心のお金持ちになってください。

 

人は鏡。人は雨。そして、人は財産。

 

この三つのメッセージを心にとどめ、君たちがこれから踏み出す新しい世界で、野洲高校での学びを糧に、人を大切にし、人から大切にされ、幸せな日々を送ってくれることを心から願い、式辞とします。